ありがちな恋愛 歌詞の考察

乃木坂46の4thアルバム「今が思い出になるまで」の曲「ありがちな恋愛」

制服のマネキン」「きっかけ」の杉山さんが作曲したということでとても期待していたのですが,期待通りの良曲ですね. 

ありがちな恋愛

ありがちな恋愛

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この曲のサビの一節

『愛より大切な夢を見つけたのなら,現実はいつだって退屈なものだ』

に違和感があり意味の解釈ができなかったので,この部分について考えていこうと思います.

 

はじめに

なぜこの歌詞に違和感を感じたのか

『Aより大切なBを見つけた』場合,多くの場合ポジティブな意味で考えられる.

しかし,ここでは『いつだって退屈』とネガティブな歌詞が続く.

また,「愛より大切な夢を見つけたのなら,現実はいつだって退屈」は明らかに必要条件も十分条件も満たしていないように感じます.

このギャップにこの曲の仕掛けがあるのではないかと考えました.

 

歌詞の構成

今回の歌詞の構成は

  • Aメロ 僕が見た情景
  • Bメロ 自己分析
  • サビ 一般化・達観

この構成は乃木坂46の「きっかけ」と同じ構成だと考えます.


乃木坂46 『きっかけ』

 

歌詞の解釈

(歌詞 http://j-lyric.net/artist/a0560d3/l04b715.html

1番Aメロ

『僕』は団地を眺め,干されている洗濯物から生活している家族の存在を感じています.

団地は家族の集まる場所であり,この歌詞の『いくつ』『数えて』から『しあわせ』は数えられることもわかります.外から数えることが可能なのは部屋の数であり,洗濯物をみているので部屋ではなくそこに住む家族のことを指していると考えることができます.また,洗濯物を観察し家族の様子を想像するほどに,家族について強い興味があるということも読み取れます

この歌詞から,僕は《しあわせ=家族また家族の生活》であると考えていることがわかります.

 

1番Bメロ

『僕が守りたいもの そこにあるのか(未来)』

そことはどこか,『そこ』に該当するかもしれない単語は

  1. 団地
  2. 家族
  3. 未来

の3つかと思います.家族に強い興味があることからおそらく家族のことで,未来取り言葉から現在は家族がいないく,《将来自分の持つ家族》が守りたいものであると考えます.

 

ここまでで僕が恋愛にたいして結婚することまで考えるほど大切にしていることがわかります.

 

1番サビ

『ありがちな恋愛のその結末はどれも同じで そう知らぬ間に二人 別の道を行く』

ここでは『別の道を行く』とあることから《ありがちな恋愛の結末=別れ》であることがわかります.また,『知らぬ間に』とあることから,精神的距離が気づかずに開くことを指していると推測します.

ここで『愛よりも大切な夢を見つけたなら 現実はいつだって退屈なものだ』が出てきます.ここではまだ材料が足りないので保留にしておきます.

 

2番Aメロ

『一本の煙突の下で 一体 何を燃やしているのだろうと思う そこにある意味を考えたくなる』

このパートは1番の『洗濯物の色味で どんな家族なのかわかる気がしてしまう』との対比関係であると考えます.煙突からは何が燃えているのか考えてもわからない,《イメージ出来る状態》に対して《先の見えない状態》が現状であると考えました.

また,『一本の煙突』は一人になった『僕』を表現しているようにも感じる.

『そこにある意味を考えたくなる』というのは自分がいる意味を考えていることであると推測する.

『こんな理屈っぽくなったきっかけは何だ』から大きな変化があったこと,またそれによって『理屈』が必要な状況状態になったと考えられます.

理屈が必要な状況は,今までの自分の考えでは説明出来ないことがあったなどが連想されます.

 

2番Bメロ

『一人になって探し始めた(理由) もし失ってしまったら 困るもの』

『一人になって』から恋人がいたことや別れて今は一人であることがわかります.

失って困るものを一人になってから,言い換えると恋人を失ってから探し始めたということになります.

つまり,愛を失った僕は夢を探してみたのではないかと考えることができます.

 

2番サビ

『ありがちなサヨナラ』について『それでよかったと言い聞かせる』『納得できない』『後悔』というワードが並んでいることから,『ありがちなサヨナラ』には強い未練があるということがわかります.

夢ではなく愛が僕にとって失ったら困るものであったという結論になったことも感じ取れます.

 

2番Cメロ

『君はどうなんだろう 望み通りか 手に入れた夢の暮らしは しあわせか』

ここで初めて『僕』以外の人物が登場します.また,『愛より大切な夢』を見つけたのは君であることもわかります.

『夢の暮らし』は誰がどう見てもポジティブな言葉であるのに対して

『望み通りか』・『しあわせか』と問いかけることは『夢の暮らし』を疑うようなネガティブな表現です.

『夢の暮らしは しあわせか』は僕の『しあわせ』と『夢の暮らし』を比べて本当に『愛より大切な夢』を見つけることが良いことなのかと問いかけているように感じる.ここに二人の価値観の違いが感じ取れます.

 

《愛を大切にする僕》《夢を大切にする君》との間の価値観の違いが別れの原因であり,そのような別れの形がありがちな恋愛の正体であると考えられます.

 

まとめ

『愛より大切な夢を見つけたのなら,現実はいつだって退屈なものだ』は『僕』の主義思想であり《愛よりも大切な夢はない》という価値観を表し,一方で歌詞の中に出る『君』は《愛より大切な夢》を見つけ『夢の暮らし』を手にした.今回はどちらが大切かであったが,二人の価値観の違いから別れることが恋愛ではよくあること

つまりありがちな恋愛なのかもしれない